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「自然素材」が流行っているようですが、ここ数十年、現在もごく当たり前に使われている「新建材」が環境や人間にいろいろと悪さをするという事がわかってきたり、特に住宅建築ではその味気なさに反発する人が増えて来たりと、単なるブームではなくこれからはなるべく「自然素材」を多く使っていこうということになっていく気もします。
ただ現在の「自然素材」というキーワードは、「環境に良い」というよりも「人体に」悪い影響がない、というのが中心となっています。 自然素材を使う事自体はとても良い事だと思うのですが、「人体に」良いものを作ったり使ったりする事が、「環境にも」良い事につながる事になるのかと言えば、そうとは言えない部分があるので気をつけたい所です。
確かに、工業生産品の場合「人体に悪い影響の出ない製品」を作ろうとすると、製造過程から環境に悪い影響を与える化学薬品が無くなるか、その量が減る事になるでしょうから、結果的に「環境負荷を減らす」ことになるかもしれません。 例えば、ベニア板に使用されるホルムアルデヒドは酸素と反応してホルマリンという猛毒になるため、「人体」や「環境」のためにも無くしていくべきでしょう。
しかし、例えば「珪藻土」や「ケナフ」等の「自然素材」を、健康に良いとい理由だけで盲目的に大量消費した場合はどうでしょう。 「珪藻土」は植物プランクトンの死骸が体積して土となったものですが、山の中にあります。 使い過ぎは採取地域周辺の環境破壊につながるのでは?という疑問が残ります。 ちょっと前に流行った「ケナフ」の壁紙もそうで、当時「ケナフ」で作れば壁紙が売れるという流行が定着すると、どこかの国が原生林を切り倒してケナフを植林しそれを日本に輸出する、ということになる可能性が指摘されていました。 (最近は「ケナフを使ったクロス」や「エコクロス」は汚れが付きやすく落ちにくいと言う理由でクレームが付きやすく、あまり選ばれなくなりました)
また、廃棄やリサイクルの処理にどの程度「環境負荷」があるのかも問題です。 「放っておけば土になる」プラスチックの研究が進んでいたり、理論的には木材を永遠にリサイクルできる薬品の研究もあるようですが、アルミ缶等のリサイクルはどうでしょう。 リサイクルする事自体は当たり前の事としても、その再精製の過程で使用される大量の電力は何を元に作られているのか? 木造の外張り断熱材などによく使われる発泡ウレタンは、製造するのに多くの石油を必要とするにとどまらず、現在まだリサイクル方法の決定打がなく、燃やせば猛毒のガスを発生してしまいます。 リサイクルや廃棄にも「環境負荷」があるのです。 この他、「コラム」のコーナーに書かせて頂いたように、現在日本では「輸入木材」よりも「国産木材」を使う事のほうが環境に貢献することになる、と言うような「社会事情」もあります。
つまり「自然素材」を使う事が、「環境」と「人体」の両方に良いのかと言えば、決してそのような事はない、問題は複雑なのだ、と言う事を皆がもっと知るべきではないかと思います。 では、現在においては具体的に何を使えばその両方に良いのかということについては、それに関する情報がまだ整理されておらず、正直私自身が良く分かっていないのです。 私を含め消費者が「環境負荷はどうなのだ」というところまで考えないといけない時代になっていると思いますが、それに関する確かな情報がまだまだ少ない気がします。
ただ一つ確かに言える事は、一度建てた建物はなるべく大切に長く使う、という事でしょう。 これは建築に限らず、「家具」や「電化製品」など他のものにも言える事ではないでしょうか。
(2001年05月21日・2005年12月一部追記)
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