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山尾建築設計事務所
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B 04木造住宅(在来工法)のリフォームについて
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木造住宅(在来工法)のリフォームについて

以前、築35年の木造住宅について、「建て替えかリフォームか迷っています。 新築より、リフォームの方がどのくらい安いのですか?」 という相談を受けた事があります。 日本の木造住宅の平均寿命は世界一短いとの事ですが、地球環境のためにも今あるものを直しながら長く使うと言う事がこれからは大切です。

リフォームの場合、どこまで手を加えるのかによってその工事費が大きく異なってきます。 壁・天井のビニールクロスの貼り替え程度だけならたいした金額になりませんが、間仕切りの変更や、構造補強まで行なうとなれば、それなりの金額がかかります。 工事内容により大きく金額が違ってきます。

 (在来工法の木造建築の場合)

  • 外装(屋根・外壁・サッシ交換)
  • 内装(壁・天井の仕上・床仕上・ドア・収納・手摺の追加 等)
  • 設備の更新(キッチンユニット・浴室・洗面所・便所・給排水配管 等)
  •  〃 〃 (電気設備関係)
  •  〃 〃 (バリアフリー機器の導入〜リフト等)
  • 間仕切り壁(間取り)の変更・構造の変更(柱や梁の変更や更新)
  • 耐震補強(木軸部分・基礎部分)
  • 増築・減築が伴うかどうか   他

「リフォーム」と言われている「増改築工事」の場合、「新築工事」と大きく違うのは、「古いものを撤去して、廃棄する」ための費用が必要と言う事です。 廃材は産業廃棄物として取り扱われますが、処理費用は安くありません。

更新部分では、例えば「構造補強」ひとつとっても、木造部分だけの工事なのか、コンクリート基礎を含めた工事なのかにより大きく金額が違ってきます。 設備工事に関しては、既製品のユニットを使う場合、そのグレードや施工者の値引率によって金額が大きく違います。 仕上げ工事も然り、値段が高かったり、施工に手間のかかる材料を使用する場合は費用もそれなりとなり、一概に安いとか高いとは言えなくなります。 敷地の立地条件によってもコストが変化します。

ちなみに、TVの某リフォーム番組に良く出てくるような、製作家具工事(特注家具の製作)が多いプランは安価にはなりません。 製作家具は家具工事の専門業者(職人)が行ないますが、この手間代は一般的な大工さんの手間よりも高いからです。 これが理由で家具工事を、家具工事業者でなく、何でもかんでも大工工事にしたがる設計者がいますが、家具類の製作技術は非常に細やかで程度の高いものが必要なので、施工業者サイドが大工による施工は不可能と判断したり、トラブル発生リスクが高くなると判断する場合はどうしても家具工事扱いとなってしまい、費用(手間代)が上がるケースがあります。 当然の事ながら、家具工場で設計者自ら家具を製作する事もありません。 既製品をカタログで選んで並べれば、手間がかからず安く上がるでしょうが、木目模様のビニールシート張りの箱では味も素っ気もなく、すぐに飽きがくるのは明白なので、場所を絞り込んで製作家具を専門職に作ってもらうのが良いでしょう。

また、増築(床面積が増える)が伴う場合は「建築確認申請」が必要になりますが、建築確認申請を出す事になると、古い既存部分の仕様が現在の法規制に適合するように、その部分も直さなければならなくなります(既存不適格)。 良くある例としては、既存外壁が木の板だが現在敷地は外壁の仕上げは「不燃材」でないとならない地域となっているため、手を加えないつもりでいた既存部分でも外壁材の張り替えが必要となる、と言うような事があるので気をつける必要があります。
 

耐震性向上のためのリフォームの必要性

築年数の古いの木造住宅となると、現在の構造基準よりも耐震性能が劣っているケースが多いので、まず耐震補強を行なうかどうかが工事内容(金額)を決める一つのポイントとなります。 せっかくお金をかけてリフォームしても地震で壊れてしまっては何にもなりません。 耐震性能に対して、現在よりも基準や、設計者・施工者の認識が甘かった古い建物については、ぜひとも適切な耐震補強を行なうべきでしょう。

木造部分の耐震補強を行なう場合、外壁か内装壁のいずれか、場合によっては双方を一度撤去して柱や梁をむき出しの状態にしないと補強工事を行えません。 仕上げ材をはがしてみて、初めて柱や土台が腐っていたのが判明することもあるので、どうしても「工事を始めてみないと分からない」部分があります。 耐震補強を伴うリフォーム工事の場合、事前の厳密な工事費の算出が難しいと言われている所以です。
 

コンクリート基礎の耐震性

古い物件のリフォームの場合、一番大きな問題となるのが「コンクリート基礎」です。 昔は基礎の設計や施工の概念が現在よりもかなりおおらかだったので一番気がかりな所です。 大きな地震の際に建物を倒壊させないためにはやはり強固な基礎が必要で、木造部分だけの補強だけでは不十分です。

  • 基礎内部の鉄筋が細い・鉄筋が少ない・基礎に鉄筋が入っていない。
  • フーチング幅が狭い・浅い。
     (
    今まで多く行なわれて来た、逆T字型断面の「布基礎」の場合)
  • 施工の際の生コンクリートの管理がうまくない。
    • 水が多すぎるコンクリートを使っている、打設の際の施工方法 等
      (昔は生コンに水を足して打設作業をやり易くする等が当たり前だった)
      (水の多いコンクリートは中性かが進み易い。結果、強度の低下が早く起こる)
  • アンカーボルト等の金物類の有無や施工不良。
  • 道路との高低差がある敷地の場合、土留め擁壁の状態(強度)。

以上、基礎の元々の基本性能の低さや、経年劣化の進み具合がおおいに懸念されます。 基礎の表面にヒビが発生している基礎の場合、そのヒビがコンクリート基礎内部に達していると、内部の鉄筋が腐食したり、コンクリートの中性化が進み強度が低下するので、致命的な欠陥となっている事もあります。

木造部分はある程度古い部材(柱・梁・土台 等)の交換や新しい部材の付け足しが可能ですが、基礎に関しては現在のところ安価で有効な定番の補強方法というものがありません。 いろいろな補強方法や製品が出回っていますが一概にどれが良いとは言えませんし、基礎補強の技術は基本的にはまだ発展途上の段階です。 一番良いのは木造部分だけを曳き家して基礎を今の基準で新しく造り直す事ですが、なかなかそうもいきません。 (敷地に余裕がある、工期に余裕がある、予算委余裕がある・・・など諸条件が揃わないと無理) まず、コンクリート基礎の基本性能や劣化程度を良く検査して、木造部分のリフォームに取りかかるかどうかを判断した方が良いでしょう。

コンクリート基礎の改修や補強は行なわない事にしても、木造1階部分の耐震壁の追加(スジカイの追加)を行なう場合、その下に既存のコンクリート基礎がなければそれを追加しなければならい、という事もあるので、工事費の配分には注意が必要です。 (木造1階部分のスジカイ壁と、その下のコンクリート基礎はセットで設置が大原則)
 

築年数の古い木造住宅の耐震性能がどの程度のものなのかは、各行政庁(市役所等)で木造住宅の耐震診断を無料、あるいは一部助成という形で行なってくれますので相談してみるのも良いでしょう。 耐震診断を受ける事で、どこを補強すれば良いかが分かってきますし、一部行政庁では耐震補強工事の工事費を一部補助してくれるところもあります。

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リフォーム工事では、基本的に新築時よりも工事に「手間」がかかる、と言う点がポイントです。 「新築」は何もないところに作っていけば良いですが、リフォームの場合まずそこにあるものを「撤去する」手間が入るからです。 近年、廃材の処理費用も高くなって来ています。 また工事内容によりますが、建築主がその建物を使いながら(住みながら)工事を行なうという状況も、経費が上がる(工事費が上がる)要因となります。

リフォームの場合、工事前の状態ではどうしても不確定要素が多いため、工事を見積る業者によって大きく金額が異なりますので、必ず複数の業者に見積(相見積)してもらい、見積内容を比較検討することが大切です。

(2001.04.20掲載・2006.02.23追記)

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